里親・一時預かりボランティアの募集:龍之介(トイプードル)

トイプードルの龍之介の里親を探してほしいと依頼を受けました。

預け主のご夫妻は60歳近くになった頃、自分達の年齢を考えると動物と暮らせる機会はこれが最後と思い、動物病院などでアドバイスを受け、自分達が年をとっても散歩やケアがしやすく、飼養しやすい家庭犬のトイプードルの龍之介を家族として迎え入れられました。

トイプードルは犬の中でも比較的長命で平均寿命は15年前後とも言われますが、龍之介を迎えるにあたってはご家族の同意も得て、自分達に万一のことがあったとしても最後まで龍之介のケアが出来るように準備はしておられたようで、ある程度楽観も持たれていたのではないかと察します。しかし、実際はそのようにはなりませんでした。

 

龍之介が10歳を迎える頃、ご夫妻ともに病気になり、龍之介の散歩も行えなくなりました。ご夫妻の代わりに、ご家族の方が龍之介の散歩を行うこともあったようですが、ご自身の状況がその10年のうちに変わったためか、ご夫妻のように毎日散歩に連れ出すことや、龍之介を家に迎え入れてケアをすることも難しかったようです。

しばらくはご夫妻の親戚の方が龍之介を預かっておられたようですが、その方も高齢で病気となり、龍之介の里親になってくれる人を探そうとしても中々見つからず、ペットホテルなどの預かりサービスの利用についても、一ヶ月に10万円前後という費用の捻出は難しく、また、高齢犬は預かりにくいと断られたとのことでした。こうした事情からピース・アニマルズ・ホームでの預かりと里親探しを依頼されました。

 龍之介のふるまいには、預け主のご夫妻に幼い頃から、自分たちの子供のように丁寧に愛情をもって育てられてきたことがよくわかるところが多くあります。性格は温和で、他の犬たちとも仲良くでき、また犬たちよりも人を好んでいるようでもあります。初対面の人に対しては恥ずかしがることもありますが、すぐに慣れて近くに寄ってきてくれる親しさを持ち、人の近くに常にいたがり、おとなしく座ったり伏せたりしていますが、場の雰囲気によっては、そっとその場を離れたりと、気配で状況を察することができる賢さもあり、人と接しているように思えることもあります。 龍之介の特質を生かし、ビビと一緒に動物愛護フェスティバルのピース・アニマルズ・ホームのふれあいブースでも活躍してもらいました。

 

 毛色も美しく、健康面でも特に問題はない龍之介にこれまで家族の縁がなかったのは、年齢とトイプードルとしては大柄の体格のためではないかと思います。

ピース・アニマルズ・ホームには龍之介以外にもトイプードルが里親探しを理由として預けられてくることがあり、またトイプードルの里子がいないかという問い合わせもあります。しかし、ほとんどの方は龍之介に関心を持たず、小柄で幼若なトイプードルばかりを気にします。トイプードルに限らず、CMやドラマなどで話題になった犬種、ペットショップで高額な犬種、珍しい模様をした体毛の犬に里親の問い合わせ・申し込みが集中し、そうした犬から譲渡が成立してゆく傾向もあります。猫についても同様です。

しかし、こうした現状は望ましいものではありません。動物の安易な飼養放棄や大量の殺処分の原因の一つであるパピーミルや悪質なペットショップ、ブリーダーの背景にあるのは、幼齢の動物や人気のある動物の偏重です。動物愛護団体を、ペットショップよりも安く純血種の動物を買える場所と考えたり、動物愛護活動の現場においても、品種や容姿、年齢などで動物たちへの関わり方を変えるのであれば、それは極めて残念なことです。 

 

高齢の動物を譲り受ける際の利点として、運動量の減少により、散歩などの負担が減ることや、落ち着いたふるまいがあげられることが多いですが、他にもよさはあります。

たとえば、どのような動物でも長く生きた動物には年相応のある種の分別や洞察力というものが備わります。龍之介のように人と近しく、愛情を持ってケアされてきた場合は尚更です。そうした動物たちが見せる行動には、人間よりも人らしいところもあり、動物たちに関する様々な考え方を改めさせられることも多々あります。

 

動物愛護団体から高齢の動物を迎える理由の重要なものとして、動物の看取りの為にそれがなされるということがあります。よい暮らし、良縁に恵まれなかった動物たちの最後くらいは家庭的な環境の中で迎えさせてあげたいという思いからなされるそうした行動は、動物の介護や看護が面倒で費用もかかるという理由で飼養を放棄したり、高齢・病気の動物たちを敬遠する人が未だに多い中で、胸を打たれるところがあります。

 

高齢の動物の譲渡において、里親になられる方には多かれ少なかれ、そうした意識はどこかにあると思いますが、しかし実際の生活は老いや死に向けた準備という厳粛なイメージに限られるものではありません。いずれ機会を見てウェブでご紹介できればとも考えていますが、高齢の動物を家族として迎えた方からの里親報告では、動物たちを中心として、家族全員で動物を見守りながら、ゆったりとした生活を楽しんでいる様子が伝わってきます。以前に紹介したフレンチ・ブルドッグのノエルもそうした事例の一つです。

 

生きているものにとって老いや病気や障害は避けることが出来ないものです。若さや健康へのこだわりは、それらへの抵抗や反動でもあると言えますが、老いや病気をただ排除するのではなく、それらを受け入れつつ、老いや病気、障害を抱えているものも安心して最後まで生きられる社会の方が健全であり、強いと言えます。人の動物への関わり方は社会の縮図です。たとえば高齢の動物が敬遠される社会は、人間の高齢者も生き辛いのではないでしょうか。

最近はベビーカーなどに犬を乗せて散歩される方とすれ違うことも多くなりました。動物が若かった頃のように一緒にはしゃいだり、駆け回ったりすることは少なくなったり、出来なくなったりしても、そうした動物と自分達の双方に望ましい在り方がどのようなものであるかが真剣に考えられ、実行することが可能な社会は、人間にとっても生きやすいものであると私達は考えています。

 

龍之介の預け主、ご家族の方達は龍之介に対して、すまないことをしたと考えておられました。準備、配慮をしていたにも関わらず、龍之介を手放さざるを得なかった預け主の方達のお気持ちを察するに余りあるものがあります。龍之介自身だけではなく、預け主の方達の為にも、新しい家族を見つけてあげたいと私達は考えています。

体調面では既往歴もなく、特に問題はありませんが、龍之介は甘えたがりなので出来るだけ一緒にいてあげること、優しく話しかけ、声かけをすること、また人が話す際の雰囲気や気配を察することに長けているので、龍之介を家族として迎え入れることをお考えの方はこうした点にもご配慮頂けるよう、お願いします。

 

龍之介の里親になって頂ける方・一時預かりをして頂ける方を募集します。

申し込み、お問い合わせの際には当ウェブサイトの譲渡一時預かりボランティアの項目をご参照ください。

 皆さんのご協力をお願いします。

  • a)名前:龍之介
  • b)性別:雄
  • c)種類:トイプードル
  • d)年齢:10歳以上
  • e)混合ワクチン接種:(済) 
  • f)体内寄生虫駆除:(済) 
  • g)ノミ・ダニ駆除:(済) 
  • h)狂犬病予防注射:(済) 
  • i)避妊・去勢手術:(済) 
  • j)マイクロチップ挿入:(未)
  • k)フィラリア(陰性)