2016年

6月

15日

一時預かりのご報告

ピース・アニマルズ・ホームには入所している動物を会員のご家庭でみていただく一時預かり制度があります。一時預かりをされている方から、写真を頂きました。

一時預かり制度を設けたのは、保護動物の再社会化と、ここ数年過密化している施設の動物たちの密度を減らして一頭あたりのケアの質を高め、受け入れ対応に柔軟性を持たせる為です。
古くから人間の社会と密接に関わり、適応したり、改良されたりしながら人間と暮らしてきた犬や猫たちは、規格化された環境の施設よりも家庭環境におかれることがより自然です。
一時預かり制度を運用しはじめてから、家庭環境では施設よりも注意が動物たちに払われるため、預け主や保護主も知りえなかった様々な面が発見されたり、本来備わる良いところを伸ばし、行動を改善することが可能になることを実感しました。

また、一時預かりは保護動物と暮らすというだけでなく、その動物の保護主や預け主、これから里親となる方への責任や信頼関係という要素も加わる独特の経験です。一時預かりによって、預かり主の動物愛護に関する目的意識や行動によい変化が生じることもわかりました。経験はシェアされることでより多くの人に影響を与えてゆきますが、一時預かりの経験が他のボランティアや会員の方に話されることで、良い効果が回りの人達にも波及してゆくこともわかりました。

今回写真のご報告を頂いた預かり主さんにケアしてもらっているのは、先日から保護している仔猫たちと、施設に入所しているアメリカン・ショートヘアの老猫です。諸事情からピース・アニマルズ・ホームで預かることになったアメリカン・ショートヘアの預け主の方は、いずれ引き取って、もう一度一緒に暮らしたいと考えておられますが、簡単には行かないようです。
我々と同じく猫の命にも限りがあり、猫と人間の時間は同じではなく、猫には人間よりも早い速度で時間が流れてゆきます。この猫にとって最善は預け主の方と暮らすことですが、家庭的環境の中で暮らすことが、今出来ることの中で、この猫にとってよりよいと私たちは判断し、預け主の方やご家族とも話し合い、一時預かりして頂くことを決めました。

預かり主さんは、ピース・アニマルズ・ホームにコミットされる前から保護動物と暮らし、施設ボランティアとして活動しておられ、ご家族の方には募金箱の設置協力もしていただいています。一時預かりの話をご家族の方たちに切り出した時、いつかそうすると思っていたと、その提案をご家族から快く受け入れられたとのことです。
「家族みんなの想いはどの子もみんな幸せになって欲しいという事です」と預かり主さんは述べておられましたが、家族ぐるみで動物愛護に関心と理解を持っておられたことが、この一時預かりにおいてとても奏功しているのではないかと頂いた写真から感じます。

各自治体の動物愛護センターや私たちのような保護団体にはキャパシティがあることや、保護した動物たちの生活の質を考えると、「一時預かり」という動物愛護活動の形式は、これから更に重要な役割を担ってゆくのではないかと考えています。

 

民間のボランティア団体だけでなく、行政での取り組みもはじまっており、対象は限られますが、授乳が必要な仔猫・子犬を譲渡に適した状態となるまで家庭で預かる、いわゆる「ミルクボランティア」制度を取り入れている動物愛護センターも、進取的な取り組みとして記事化されて有名な熊本市の動物愛護センターだけでなく、福岡市動物愛護管理センター、徳島県動物愛護管理センター、神戸市動物管理センター、和歌山県動物愛護センター、千葉市動物保護指導センター、新潟県動物愛護センターなど、全国各地に見られます。年間の犬猫の殺処分数における授乳期の子犬・仔猫の高い比率と、殺処分数削減に向けて環境省や各自治体が掲げる目標を考えると、これから更にこうした取り組みは増えてゆくのではないでしょうか。

動物保護活動に関心を持ちながらも、どのように関わればよいのか考えておられる方も多いと思いますが、厳しいレスキュー現場や、施設・イベントなどへの協力や活動への参加以外に、こうした様々な関わり方やサポートの仕方があるということをどこかで覚えておいて頂きたいですし、皆さんのお住まいの地域でのそのような取り組みに出来る範囲で積極的に加わり、ローカルなレベルでの動物愛護活動を充実させて欲しいと考えています。