鳥・ウサギ・カメなどの迷子動物について

ピース・アニマルズ・ホームに交通事故で怪我を負った迷子のミドリガメが入所してきました。

今のところ、怪我をした前足の伸縮はできないようですが、容体は安定しており、経過を見守っています。

 

ピース・アニマルズ・ホームには、迷子として警察に届けられた後、飼い主が見つからないまま警察での保管期間がすぎて、ピース・アニマルズ・ホームに譲渡されることになった動物たちがいます。

今回、写真を掲載したコザクラインコ、ミドリガメ(アカミミガメ)、ウサギ、ヒョウモンリクガメもそうした迷子動物たちです(警察から直接譲渡されたのではない迷子動物たちも他にいます)

朝日新聞の記事によれば、2016年に東京都を管轄する警視庁に届けられた迷子動物について、以下のような記述があります。

 

「昨年1年間で警視庁に届けられた動物は1082匹。犬が575匹で最も多く、インコが140羽、猫が133匹、カメが71匹と続いた。このうち飼い主に返されたのは、犬猫で約7割。それ以外の動物は約2割だった」。

 https://sippo.asahi.com/article/10563245

 

ウサギについては記されてはいませんが、迷子のインコは140羽、カメは71匹とかなりの頭数です。自治体の規模や人口密度、動物の飼養状況は異なっても、他の自治体でも多くの動物たちが迷子として警察に届けられているのではないでしょうか。

動物愛護法では「愛護動物」が定められており、人に飼養されている鳥・ウサギ・カメの遺棄・虐待に対しては犬猫同様に罰が課せられます。しかし、「コンパニオン・アニマル」というとらえ方が社会にある程度根づいた犬や猫とくらべると、鳥・ウサギ・カメへの動物愛護的な配慮はまだ社会に行き渡ってはおらず、動物愛護に関心のある方の間でも、犬や猫よりも保護対象としての優先度は低いのではないかと感じています。鳥・ウサギ・カメたちに関する動物愛護的な話題は、犬や猫ほどの注目を浴びません。

 

たとえば、飼養しきれない動物たちが殺処分されることへの関心の高まりから、犬や猫を衝動買い的に「購入」する人は以前よりは少なくなってきているのではないかと思いますが、鳥・ウサギ・カメについてはどうでしょうか。

犬や猫に比べてメディアなどに流れる情報や話題の少なさからか、こうした動物たちは犬や猫に比べれば必要となる費用は低く、入手・管理は容易で、飼養困難となった場合の動物たちの処遇も難しくないだろうなどと思い込み、深く考えることなく飼ってはみたものの、結局、飼養困難となり、遺棄がなされることも多いのではないかとも推測しています。

年末年始には、鳥・ウサギ・カメといった動物たちをクリスマスのギフトとして子供たちに与えたり、お年玉などで子供たちが買い求めたりする機会があるかと思います。

そもそも「贈り物」として動物を買い与えたりすること自体が問題であるとも思いますが、子供たちやご家族から、こうした動物たちを求められた場合、その後、長い年月にわたり適切な終生飼養ができるのかどうか、求めようとする動物について調べ、皆で話し合うことが必要です。

 

たとえば品種、個体差、管理条件にもよりますが、ウサギは6~7年から10(以上)、インコには犬や猫とおなじくらいの寿命(7年から20年)があり、オウムやヨウムは50年近く長生きします。ミドリガメも30年ほどの寿命があると言われています。いまピース・アニマルズ・ホームにいるヒョウモンリクガメの寿命は、野生では80100年、自然ではない条件下ではそれよりは短くなるとは言え、3050年の寿命があるとも言われています。

犬のような日課としての散歩や、猫のように高所などのスペースが必要なくて飼いやすいと思われるかもしれませんが、こうした動物たちを健康に生活させ、また飼養ケージなどの清掃を安全かつ適切に行うには、それなりの空間や手間が必要であり、室温・湿度管理もかなり厳密に行う必要があります。備品類、フード、病気になった際の治療に要する費用もそれなりのものになるのは猫や犬と同じです。

本当に終生飼養できるかどうかを、飼う前にご家族でしっかりと考えて頂きたいと思います。

 

※参考:環境省による啓発用のパンフレット

「飼う前に考えて!」

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2706j.html

 

「ほんとうに飼えるかな?」

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/1911b.html

飼養困難となった鳥・ウサギ・カメたちを遺棄した場合、それはまず動物愛護法の処罰対象ですが、そもそも動物たちにとって遺棄は残酷な仕打ちです。

家庭で飼養されている鳥やウサギ、リクガメは遺棄された場合、気温変化・フード・外敵の存在の問題などにより、今の日本社会では生き延びることはおそらく困難です。また、冒頭に述べたミドリガメのように、交通事故にあうリスクもあります。

どうしても飼養し続けることができなくなった場合、新たな飼い主、家族を探さねばならないのも犬や猫の場合と同じです。

先にご紹介した朝日新聞の記事では、迷子として警察に届けられた動物たちの命を救おうと、署内でそうした動物たちのケアをしながら、飼い主や預かり手や引き取り手を探す警察署員の方たちの努力する様子も記されています。

東京都ほど規模が大きくない自治体でも、迷子として警察に届けられる動物たちの数がそれなりにのぼることは間違いないでしょう。

詳細を記すことは控えますが、たとえば県内の警察署でも、私たちが接した限りではありますが、警察署の職員の方たちが迷子動物たちをできるだけ助けようと様々に尽力されていることは、こうした迷子動物を巡る警察署の方たちとのやり取りのなかで実感しています。遺棄は論外ですが、もしこうした動物たちが逸走・脱走してしまった場合は、探す努力をしてください。

 

警察庁のウェブサイトには、それぞれの都道府県の警察の遺失物検索ページへのリンクがあります。それぞれの警察で利用・検索方法・条件などは異なる場合がありますが、警察に届けられた動物たちについて調べることができます。 

「都道府県警察における遺失物の公表ページ」

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/consultation/ishitsubutsulink.html

 

迷子動物の飼い主の方たち以外の方にも、こうした件でできることがあります。

SNSなどで、たとえば「#迷子鳥」「#迷い鳥」などのハッシュタグを付された、鳥・ウサギ・カメなどの迷子捜索依頼があれば、積極的に情報をシェア・拡散してゆくことも大事と思います。

ピース・アニマルズ・ホームに譲渡された迷子動物たちのように、警察での保管期間がすぎた後、自治体や警察と連携関係にある方の所に迷子動物が譲渡されていたり、あるいは保管をまかされていたりする場合があり、迷子動物の捜索依頼がそうした人たちの目にとまることで、飼い主の方が迷子動物と再会できる可能性が増えます。

鳥・ウサギ・カメたちにも動物愛護的な関心を払い、こうした動物たちを助けようとしている人たちの動きに意識をむけ、サポートしてほしいと考えています。 

ミドリガメについては環境省が平成277月に「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を公表しています。

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/akamimi.html

通称として「ミドリガメ」といわれるアカミミガメは外来種であり、飼い主のもとから逸走したり、飼養困難となって遺棄されたカメたちが生態系に及ぼす影響が注視されています。

リンク先のページには、ミドリガメを飼う前の注意喚起や、遺棄防止のためのチラシ、ポスターなどの啓発キットがあります。

ミドリガメを巡るこの問題についてはここでは十分にふれることはできませんが、ミドリガメと関わりがある方は、こうした啓発キットなどを利用して、遺棄防止と終生飼養に努めて頂きたいと考えています。

鳥・ウサギ・カメたちが描かれてはいませんが、環境省作成の動物の遺棄防止ポスターの掲示協力をして頂ける方を募集しています。

ポスターの在庫には限りがありますが、設置や配布にご協力いただける方はピース・アニマルズ・ホームまでお問い合わせください。

 

ここに記載したピース・アニマルズ・ホームに譲渡された鳥・ウサギ・カメたちについては、里親も募集していますが、一時預かりをして頂ける方も募集しています。鳥たちは犬や猫たちほど、入所や預かり依頼が頻繁になされるわけではありませんが、管理スペースには限界があります。頭数が増えた場合、ケアの質を維持してゆくにはスタッフへの負担が増加します。

ピース・アニマルズ・ホームのためというより、県内で遺棄されたり、迷子になってしまった鳥やウサギやカメたちの命を少しでも助けるために、そうした動物たちのために手助けして頂ける方が少しずつでも増えてゆくとよいと考えています。

 

なお、カメに関しては先にもフード募集のお願いをいたしましたが、ご協力いただける場合は、記事をご確認の上、お問い合わせください。

皆さんのご協力をお願いします。