2016年

7月

20日

サービスエリアでの猫の保護について。

ピース・アニマルズ・ホームは昨秋より、富山県内のあるサービスエリアに遺棄されていた猫たちの保護作業を行っていました。

 

去る5月、サービスエリア管理会社の本件に関する窓口であった方より、当該サービスエリアでの猫の新たな遺棄は確認できず、一先ず問題は収束したとの連絡を頂きました。

 

動物の保護の事例については、関係者のプライバシーへの配慮や、動物虐待・遺棄などの手口やヒントを与えないためにも慎重にならざるを得ないのですが、このような事例が本県においても発生しているという注意喚起と再発防止の為にも、今回の件を紹介します。

 

猫たちが元々暮らしていた場所に戻ってこられないようにするためか、サービスエリアに動物を遺棄する事例が全国的に発生しています。

問題となったサービスエリアでも数年前から、近隣の住宅地からやってきたのではなく、明らかに遺棄されたと思われる猫たちが多数、サービスエリアの利用者や関係者からフードを貰いながら生息していました。

しかし、苦情が利用者や猫嫌いな関係者から管理会社へ寄せられたり、利用者の車に猫が轢かれる事例も生じ、厚生センターに猫の捕獲・殺処分を依頼する案が検討されるまでに至っていました(注・あらかじめ述べておくと、厚生センターは野良猫の捕獲を行わないので、このサービスエリアの猫たちの捕獲・殺処分などはなされていません)

 

仕事のために、関西方面から富山県へと毎週往復し、このサービスエリアを利用することが多く、サービスエリアの猫たちの様子を長く看ておられた方たちは、猫たちの殺処分案まで出た状況を重く見、ご自分たちでも猫の保護・譲渡をはじめておられました。しかし、エリア中の猫たちすべてを保護することは難しく、猫たちの保護と里親探しをしてもらえないかと、ピース・アニマルズ・ホームに相談を寄せられました。

 

保護を行う場所の性質、対象となる猫の頭数から、レスキューが大規模化・長期化することが予測され、また保護活動においてサービスエリア関係者の許可や協力が必要でもあったため、当該サービスエリアを管轄する管理会社、厚生センター、市役所、警察とコンタクトをとり、状況を説明し、話し合いを経て保護を開始しました。

 

サービスエリアは一般住宅地と接しており、住宅地内の飼い猫が区域内へ入り込み、誤って確保されてしまう事態を避けるために、私たちが保護作業を実施する前に、ピース・アニマルズ・ホームと厚生センターで、サービスエリア内および隣接する住宅地の猫の生息・飼養状況を分担して調査しました。

調査の結果、住宅地から飼い猫の迷い猫届けなどは出ておらず、また室内飼養されずに放し飼い状態で、飼い主によればサービスエリア方面に向かっていることもあるとされた飼い猫たちについても、実際にはサービスエリア内に紛れ込んでいないことを確認しました。そして、猫と暮らしているご家庭には、誤って確保されることを避けるために、猫を外に出さないように厚生センターよりお願いし、降雪のはじまる前に仔猫・雌猫を保護することを優先して猫たちの保護作業を開始しました。

 

保護作業の都度、管理会社と状況確認や連絡を交わしながら、協力者の方たちと計26頭の猫を保護しました。保護と同時に里親探しも行い、現時点でピース・アニマルズ・ホームには成猫3頭のみが入所しています。

猫たちの活動領域が広範囲に広がるだけでなく、高所にも及んだりした為に保護が難航することもしばしばありましたが、猫たちの窮状に共感された多くの協力者の方たちから積極的かつ主体的なご助力を頂き、作業は順調に進めることができました。

 

冒頭でふれた、今回の件でサービスエリア管理会社の窓口になって頂いた担当者の方によると、県内でもサービスエリアへの遺棄は多発しており、ご自身もインターチェンジに遺棄されていた犬を引き取り、一緒に暮らしているそうです。

これまでに遺棄された動物の中には、純血種であるけれども容姿に「欠陥」があり、「商品」にならない猫など、明らかにブリーダーに遺棄されたのではないかと思われるものもいたとお聞きしました。

 

犬、猫、ウサギなどの愛護動物の遺棄は、百万円以下の罰金と動物愛護法に定められた犯罪です。

動物が命あるものであることを忘れ、利益のみを追求する悪質なブリーダーや生体販売を行っている者たちによる遺棄は論外として、飼い主のいない動物に食事などを与える世話人がいる場所ならば、犬や猫を遺棄しても野生の動物のように生きてゆけるのではないかと、そうした場所に動物を捨てる人もいますが、決してそのようなことはありません。

私たちの暮らす社会は野生動物が暮らす自然ではなく、栄養の不足や偏り、厳しい環境やストレスに起因する病気や怪我、他の動物との激しいテリトリー争い、交通事故、そのような場所を狙う者による動物虐待と、捨てられた動物たちは極めて危険なリスクに晒されています。
飼養管理者が居り、周辺地域の住人の了解と協力が得られた地域猫などのケースは別として、誰かが外で猫たちに食事を与えている場合、今回の件もそうですが、フードや排泄物の処理などを巡り、その場の近隣の住人や関係者の間で問題が発生することがあります。また、世話をしている人たちが何らかの事情で、給餌や見守りなどのケアが出来なくなると、多くの猫たちが即座に餓死や虐待、殺処分などのリスクに晒されることになります。

現時点では、このサービスエリアでの猫の遺棄は再発していないために、遺棄・虐待を戒める管理会社作成のポスターはもう貼られてはいませんが、遺棄の再発防止のために、環境省作成の動物愛護啓発ポスターを掲示頂くように管理会社にお願いし、ポスターを送付いたしました。

なお、環境省の遺棄・虐待防止ポスターは、環境省のウェブサイトよりPDFファイルとしてダウンロードできます。

動物の遺棄防止に向けた今後のピース・アニマルズ・ホームの取り組みとして、県内インターチェンジやサービスエリアの遺棄状況を管理会社や各厚生センターに確認し、季節毎にフライヤーの配布や声かけなどを通じた遺棄防止の呼び掛けを行う予定です。また、本件については次回の動物愛護協議会にて提言し、遺棄防止に向けて随時検討を行います。

なお、今回の保護の過程では、募金箱設置協力をして頂いているお店二店舗から、計一万円の寄付協力をして頂きました。頂いた寄付金は、サービスエリアより保護した猫の食費・駆虫費に用いさせて頂きました。